TREのメカニズム

大腰筋

 

TREは、体の核にある筋肉の振動を引き起こして深い慢性的な緊張を解きほぐし、人間の体が本来持っている、「緊張し・リラックスする」「守り・回復する」メカニズムを完了させるものなのです。

 

人間の体は、生命に危険を感じると反射的に幼児のような態勢を取ります。これは腹部にある大切な臓器や目や口などの大切な器官を守るための反射運動です。この動きを作る大腰筋は、体の核部にあり、その収縮・緊張が脊髄を伝わり、脳幹に信号が送られると、交感神経が支配的に働き、脳はエピネフリン、ノルエピネフリンなどのホルモンを放出し、全身が「逃げるか・戦うか」の緊張・興奮した状態となります。

 

これは生体が持っている危険を回避し、生き残るために無意識化で起こる本能的な反応であり、哺乳類のすべてが持つ機能です。自然の状態ならば、危険が過ぎ去ると、自然に余剰エネルギーの解放が始まりますが、人間は社会的な観念や心理から、この一連のメカニズムの後半、「震え」によって興奮と緊張を解放するプロセスを抑え込んでしまう場合があります。

 

危険が過ぎ去っても、この高いエネルギーが発散されずに神経回路に蓄積されると、生き残るための非常態勢、緊張・興奮が繰り返し生み出され、フラッシュバックや睡眠障害、無気力、無感覚、うつ、イライラ、突然の怒りの爆発、過剰な警戒心、音や光、匂いに対する過剰な反応などのPTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状として現れるようになります。

 

TREのエクササイズは、この一連のメカニズムの基となる大腰筋に穏やかな振動を引き起こし、筋肉と神経、脳から過剰な緊張と興奮のエネルギーを解放します。振動が中枢神経を伝わり、全身から深い慢性的な緊張が解放されると、副交感神経が働き始め、筋肉はリラックスし、脳はエピネフリンを大量に送り出すのを止め、安心と快適さのホルモンを生成し、全身の神経に新しい情報を伝え始めます。

 

TREは、体の核にある筋肉の振動を引き起こして深い慢性的な緊張を解きほぐし、人間の体が本来持っている、「緊張し・リラックスする」「守り・回復する」メカニズムを完了させるものなのです。

 

●参考:デイビッド・バーセリPhD著「人生を変えるトラウマ解放エクササイズ」 (PHP研究所)